「簡単に言うと、君と彼女は生前・・・恋人同士、だったとデータには残っている。」
そう言うと、浦波は黙って、こちらを見つめていた。
「・・・それだけ?」
「・・・・・。」
おかしい。
そんなの。
ただの恋人、ならば、なぜ二人とも同時期にこの若さで死んだのだ。
何か、きっかけがあったはずだ。
二人が同時に死んでしまうような、大きな事件が。
「・・じゃあ、聞くけど。なんでレプリカ実験にオレとがナナミが選ばれた?」
別に、オレたちでなくとも、別の誰かでよかったはずだ。
「・・・ノーコメント。」
「はぁ?」
浦波は少し申し訳なさそうに、肩をすぼませ
「ゴメンね。僕の上司の命令で・・。いくつかの疑問には答えられないんだ。・・いや、もっとも。僕でさえも知らされていないことは、いくつもある。たとえば、今の質問のように。」
と言った。
・・そうか。
浦波も、このレプリカ実験を行う人物というだけであって、誰を使うかなどを決めたワケではないのか。



