再度目覚めた時。
またも、最初に目に入ったのは真っ白な天井だった。

「・・・まさか、目が覚めてすぐ、逃げようとするとはな。」

最初に目覚めた時の、白衣の男。
少し、驚いたような、呆れたような顔をして言った。

白衣の男は、メガネをクイッと持ち上げた。
その動作が、何故かとても憎く思えるのは、何故だろう。

「・・・君は、あそこで何かを見たかい?」

フラッシュバック、とでも言うのだろうか。
一瞬、あの漆黒の部屋で見た彼女が頭に映し出される。

「・・・・美しい、女の子を・・・見た。」

「・・・そうか。・・アレは君と何も関係が無い。たかが目覚めの前の実験体だ。・・・忘れていい。」

アレ。
アレが表しているものを彼女だと認識するのに、少し戸惑った。
まるで、モノのように言う。