特にこの施設で、見るべき場所なんてない。

そのはずなのに・・。


オレの足は、勝手に走り出していた。


頭の中に、自分の声が響く。

クル。

クル。



キタ!!

イソゲ!!


「っくそっ・・・!!なんなんだよ・・・っ!!」


目的地も分からずに、駆け込んだ先は。
この真っ白な世界で、唯一の黒い世界。

彼女が眠って「いた」部屋_____。

いた?

なぜ、過去形なんだ。

今も、眠っているんじゃないのか?