「色摩美々」




「よっしゃ、はまった!」


わたしは、ぐっと拳をにぎりしめた。


その時、わたしは公園のゴミ箱の中に隠れて、こっそりと二人の様子を見張っていた。


告白された金屋武は、あきらかに揺らいでいた。表情に、とまどいが浮かんでいる。おそらく、頭ではわからなくても、体が、本能が気づいてしまっているのだ。


目の前にいる少女の正体が、好きな男の子である風宮旬だということに。


きっと今頃、ゲイである自分が、なぜ女の子にドキドキしているのか?なんて思っているに違いない。


なんてことはない、彼は目の前の同性にドキドキしているだけなのだ。いたって正常なゲイの反応だ。


しかし、風宮旬の女装の完成度の高さが、いま彼を混乱させているのだ。


「ふふふ、計算通り」


わたしはゴミ箱内の闇の中で、静かに笑みを浮かべた。