「風宮旬」


昼休みになり、ぼくは生徒会室へ向かった。


とうとう女装のことがばれてしまった。


しかも、よりによって、あの色摩さんにだ。


ぼくは、深いため息をついた。なんだか頭が痛い。


優等生でありながら、痴女であることを隠そうとしない色摩さんに対して、ぼくは尊敬と恐れの入り混じった、複雑な感情を抱いていた。ぼくの物差しでは、とてもはかりきれない、強烈な価値観を持っているひとだ。


・・・・・・やはり、女装をして学校に来たことを、叱られるのだろうか?


でも、色摩さんに、それを注意される筋合いはないと思った。彼女の方が、もっととんでもないことをいっぱいしているはずだ。


何にせよ、廊下を歩くぼくの足取りは重かった。




生徒会室の前に着いた。


ドアをノックすると、
「どうぞ」
と色摩さんの返事が聞こえた。
「失礼します」
と言って、ぼくは中に入った。


そして、室内を見て、絶句した。