「色摩美々」


わたしの母はAV女優でした。


父は昔、家に借金を残して逃げ、母は女手ひとつでわたしを育ててくれました。そんな母を、わたしはすごく尊敬しています。


しかし、世間はAV女優である母を差別しました。近所の人たちは、わたし達母子に冷たく接しました。小学校に入ると、ひどいいじめを受けてきました。


納得がいきませんでした。


性は人の営みなのに、なぜ世間は性に関わる仕事を差別するのでしょうか?


臭いものにフタをするように扱われ、よくわからないからと過剰に恐れられている気がします。


絶対におかしい。間違っている。


そう思ったわたしは、ある夢を抱きました。


大人になったら、物凄く魅力的で色っぽい女性になり、総理大臣を奴隷にして、日本の政治を裏で操り、水商売への差別を無くそう。


笑うんじゃねえ。


わたしは、マジです。


これが、わたしの人生の目標なのです。


母の友人であるAV女優や風俗嬢から様々な技術を学び、経験を積み重ね、十七歳にして、わたしは立派な痴女になりました。また、総理大臣に近付ける程の地位を手に入れるために、学業にも真剣に取り組みました。高校を卒業したら、東京大学の法学部を受験するつもりです。


優等生で巨乳で痴女。


ボンクラ男子共にとっては、たまらない存在でしょう?


わたしに誘惑できない男子はいないはずでした。




・・・・・・しかし、そんな痴女としてのわたしのプライドを、あの男がへし折ったのです。