まったくふざけている。誰だ名付けたヤツは。目の前にいたら、得意の背負い投げでぶん投げてやりたい。


しかし、名前はアレだが、症状はとんでもないのだ。


この病気にかかった男は、女の子にモテる。


そして、下手なギャルゲー、恋愛ゲームのような出来事が、次々とこの身に降りかかってくるのだ。


高校二年生の春に発病したのだが、五月になるまでの1ヶ月の間に、もう六回も、食パンをくわえた女子高生と登校中に曲がり角でぶつかっている。


笑いごとではない。
いくら女の子とはいえ、全速力で走る人間と衝突することが、どれだけ危険なことか。


それに、おれの体はいかつい。小学生の頃から柔道を続けていたので、首が太く、腕も足も分厚い筋肉でおおわれている。それに、でかい。身長は百九十センチメートルある。おかげで、熊みたいだとよく言われる。


そんな体なので、ぶつかってきた女の子のほうが、倒れることが多い。幸い、相手をケガさせたことらまだ無いが、今後どうなるかはわからない。


そういうわけで、登校中は、交通ルールをしっかりと守るようになった。


とくに、曲がり角、十字路などでは、立ち止まって左右を二度見し、食パンをくわえた女子高生がいないかしっかりと確認してから渡るようになった。