「・・・・・・おはようございますじゃねえよ。・・・・・・何やってんだ、おまえ、こんなロッカーの中で?」
おれは、心底あきれた表情で聞いた。


色摩は、はきはきと答えた。
「いや、実はですね。昨日の放課後、『そうだ、ロッカー監禁放置プレイをやってみたい』と急にムラムラしてきまして。で、思い立ったが吉日というわけで、自分で自分に猿ぐつわをして、体を亀甲縛りにして、ロッカーに閉じこもってみたわけです。柔肌に荒縄が食いこむ感触に、しばらくの間、非常に恍惚としていたわけですが、三時間もすると、飽きちゃいまして。で、やめようと思ったんですけど、縄がほどけなくなってしまったのですね。なはははは。それで一晩中、ロッカーの中に閉じこめられることになっちゃいまして。そして、いまにいたるというわけです」


横で風宮が、顔をしかめていた。


「変態め」
おれが舌打ちをもらすと、色摩はうっとりとした表情で体をふるわせた。
「ああ、大好きな金屋君にののしられると、興奮しちゃいます。ムラムラしてきました。抱いてください」
「死んでも嫌だ」
「そんな!わたしの身体のどこが不満だっていうんですか!」
そう言って、色摩はふくよかな胸をつきだしてみせた。世の男達は、こういうのを好むらしいが、ゲイであるおれには、その魅力がさっぱりわからない。単に、胸がデブだとしか思えない。つーか、気持ち悪い。


おれは顔をそむけて言った。
「身体がどうとかいう問題じゃねえんだよ」


色摩美々。


こいつは本当に、本当に、とんでもない女だった。