「ごめん、」

私は彼女に頭を下げた。

「でも、私はあなたから譲ってもらったわけじゃないから。
葵は元々私の彼氏なんだもん。」

意地を張ってそういった私。


でもね、

「でも、嬉しいよ、そうやって心配してくれてるの。

それでね、葵は絶対に起きるから、気が向いた時でいいからお見舞いに来てあげて。」

私は笑顔でそう言った。


「あんたっていちいちムカつくわね。

でも残念。もう一生来ることはないわ。」


そう、笑いながら言った彼女。

彼女はきっと、また来てくれるんだろうな


そんなことを考えながら、帰ろうとする彼女の背中を見送った。


「あ。」


そう言ってこっちに向かってくる舞子さん

「一応連絡先教えておくから。一応ね。」

一応のところを強調したのに笑った私は、睨まれながらも笑顔でいた。


「また来てくださいね」

「…気が向いたらね」

「絶対ですよ?」

「さあね」

舞子さんはそう言って病室を出た。


今まで、遊びでヤってる人なんて、本気の恋したことないんだって思ってたけど、

違うんだね

本気の人もいるんだね

本気で恋してる人もいるんだね

どれだけ苦しかったか、私にはわからないけど…


でも、舞子さんはすごく強い人だと思ったよ

だから、いつか必ず会いに来てくれるだろうね

その時はきっと、隣に本気で好きな彼氏がいて、私達に自慢してくるんだろうな…

いつかきっと。