私がみんなと別れた場所に行くと、葵がバイクに寄りかかって立ってた。

「葵…」

私はぼそっと名前を呼んだ。

聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で。

「どうした?」

そう、優しく聞いてくれた葵。


…勇気を出さなきゃ…

「葵…あのね、私…」

声の小ささとは裏腹に、心臓は凄い音を立てている。
「ん?」

静かに聞き返してきた葵。

「私…葵が好き。幼なじみなんかじゃ嫌なの…」

私は小さい声でそう言った。

お願い、届いて…


「俺も。」

葵はそう言って私を抱きしめた。

葵のぬくもりが、暖かさが伝わってくる。

愛しさがあふれる。

俺もってことは、私のこと好きってことだよね?

勘違いしてもいいんだよね?

そう考えただけで涙が溢れてくる。

「紅音…好きだ」

葵は私の涙をぬぐいながらそう言った。

ぬぐった手が頬を包む。

目を瞑ると、葵のぬくもりを唇が感じてる

あ、キス…

葵と…

ドキドキしてる。

そんな言葉じゃ表せないほどに。
軽い、触れるだけのキスなのに気持ちいいと感じた。

こんなの、初めて…

「やっと、手に入れた…」

そう言って、さっきの優しいキスとはまた違う、

甘い甘いキスをくれた。

葵…大好き。