未央が目をぱちくりさせる。


「・・・・・・っ」

俺は必死に言葉を探した。


呼び止めたけど、何も考えてない。

ただ去っていかれたくなくて反射的に声が出た。


何か言わないと。

何か、もっと側にいられる理由を



「・・・・・遊びに行かねえ?」



焦って考えて、出た言葉はそれだった。


未央は驚いた表情で固まって


ゆっくり

うなずいて


微笑んでくれた。


俺は嬉しくて
思いっきりにっと笑った。


「チャリの後ろ乗って!」

俺は自分のチャリにまたがる。


未央がおそるおそる後ろに乗った。

体が不安定になった未央は、遠慮がちに俺の背中にしがみついた。



未央の手が触れる。



俺の鼓動が早くなった。

「・・・・・その位置だと、危ねぇから・・・・」

俺は未央の手を掴んで、俺の胸のほうへやった。
一瞬未央の手がびくっと反応した。


未央の手が震えながら俺にしがみつく。

小さい手だった。



「どっか行きたいとことかあるか?」
振り返って訊くと、未央は首を振った。

俺は自転車を走らせる。


後ろに乗ってる未央はとても軽かった。

全然こぐのが疲れない。


俺はスピードを上げた。

未央のしがみつく力が強くなる。


温かさが背中を包んだ。



いつまでも、こうしていたい