今日、俺はいつもより30分早く起きて学校に来た。
職員室に行って先生に許可を取ってから、学校中の掲示スペースにポスターを貼りまくった。

これだけ貼れば全員見るだろ。


貼り終わって廊下を歩いてると、登校して来たアキラに会った。
「はよー。お前今日早いな」
「ああ、これこれ」

俺はアキラに残ってるポスターを見せた。
「何だこれ?猫?」
「そう。この前怪我してて病院連れてったんだ。飼い主探してるんだよ」

「へえー、お前いい奴じゃん。手伝うか?」
「さんきゅ。でももう学校には貼りまくったからいいや」

アキラは興味津々にポスターを読んだ。
「これお前が作ったの?」
「いや、その病院の院長先生。未央と三人で分担して貼ってるんだ」



はっとして黙った。

アキラは訝しげに眉毛をよせる。

「・・・未央?お前、あのこに会ったのか?」


なぜか気まずくなる。俺は目をそらした。
「そうだけど・・・」


「・・・・・・・・別にお前が良いなら良いけど・・・」


アキラが真面目な顔で言った。


・・・・何だこの感じ。
胸の中でもやもやしてる。



「・・・・っあのさ」

先を歩くアキラが振り返った。



「別に、そんなに特別な扱いしないほうがいいと思うぜ。お前の言ってること正しいと思うけど、話してみたら普通のこだったし。普通にいいこだよ。そういうの気にして距離置いたら、あのこいつまでも1人になると思うんだよ。ゆっくり近づいてけば良いんじゃねえ?」


言い終えたとき、アキラが意外そうな顔してた。

「・・・・・何だよ」

「いや・・・・・」

アキラは呆然とした顔で俺を見てた。