クリスマスの朝、バス停に行くと、もう飯島さんが立ってた。

横には、いつもの自転車。


私に気づくと、飯島さんはカゴからジャケットを取り出した。
顔は無表情。


「着て」

・・・・・?


十分暖かい格好してきたつもりだったんだけどな・・・・・。


言われるがままに渡されたジャケットを着ると、ふた周りくらい大きかった。
飯島さんの匂いがうっすらする・・・・。


私は自転車の後ろに乗って、前に進みだした。




いつも遊んでる場所と反対方向の道を進んでる。



どこにいくんだろう・・・・・・?



私は飯島さんの背中を見つめた。

マフラーが風になびいてる。




飯島さんは何もしゃべらなかった。


怒ってるのか呆れてるのか
何にも気持ちがわからない。




私たちは無言で進んでいった。