黒いもやもやしたのが形になっていく
東雲がそれに向かって何かを言いながら液体をかけている。
今も千里眼を使ってはいるが、
言葉は聞こえない。
「丹野さん、あとどれくらい魔力制御できますか?」
聞こえないなら、聴覚を上げるしかない。
「まだなんかやるのか。あと、100ってとこかな」
それはたぶん野口さんの方にも影響が及ぶんだろう。
それでも、使ってみよう。
<キーン>
頭が痛い。聴覚を上げるには、
それなりの代償が必要になってくるんだ。
つまり、対極線上の音を聞くんだから
学校全体の音を聞かなくてはならなくなる。
「…っ、うるさい。少しは静かにならないのか」
うるさい。昼休みだ、うるさいのは当たり前だが。
しかし、よく気付かれずにあんなことできるな
そこは感心してもいいポイントだと思う。
「紫桜、お前、盗聴しようとしてんの?」
野口さんが感づいた。
まぁ、感づいても当たり前だとは思うけども。
「はい。でも周りがうるさすぎですね」
「当たり前だろ、昼休みなんだから」
笑いながらも、美術室から目を離さない野口さん。
「…だからか、魔力が軽くなったの」
…え?魔力が軽くなった?
丹野さんのいきなりの発言に混乱がおきる。
「…つまり、お前は魔法を使うことで
魔力を消耗するんだから、
魔力があふれるのを抑えることができるんだ」

