「…なんとか時間内だったな」
1階に降りた俺たちは、
気付かれないようにうまく魔法を使いながら
何とか屋上に来ていた。
チャイム30秒前。
よく5分の間にこんなにたくさんのことを体験したもんだ。
しかし、腹減った。
まぁ、そんなマイペースなこと言ってる場合でもない気がしてきたが。
<キーンコーンカーンコーン…>
昼食始まりの合図。
…食べていいのか?
先輩たちは列になって
美術室が真正面になる場所に座って
弁当を食べ始めていた
「紫桜?混ざんないの?」
…え?
思いもよらなかった。
まさか混ぜてもらえるとは。
「…いいんですか?」
恐る恐る聞いてみる。
先輩は怖いっていうイメージがあるからだ
(小学校でのトラウマがしばし)
「うん、早く来なって」
横に並んでいたので、
端っこにいた野口さんの隣に座った。
(一番親しみやすい人の隣じゃないと落ち着かない)
無言。ただ食べてるだけって気がするけど、
目は美術室に向いていた。
なんだ…?アレ。黒くてもやもやしてる感じ。
しかも、人がいる。一つ、見慣れたのがいる。
「…先輩、あれ、誰だかわかりますか」
少し、目を先輩たちに向けた。
全員怖いくらいに集中していた。
目が1ミリも動かないくらいに。
「東雲だよ。昔からいる、科学部顧問だ」
答えてくれたのは太一さん(この人だけ名前)
外見は怖いが、意外と優しい感じ。卓球部。
「あれ…黒魔術じゃないか」

