だから歌えない。





なんど妬まれたことだろうか。





そんなこと、数えられない。





「帰りたい」





さっきからそれしか言ってない私。





「帰るなら、1曲歌ってからにしなさい」





そう、私の隣に座る佳奈が言っている。





「歌えないの知ってるくせに」





「わからないじゃない、どんな反応するかなんて」





そう言われるけど、もう何十回と経験した。





ワイワイと楽しんでいる彼女の隣には彼氏である男子が座ってる。





そして、その隣には、私がずっと片思いをしている人。





クラスからも人気者で女子とずっと話している。