同日、同刻、
かろうじてメリーゴーランドが見える場所。
車いすに乗る一人の女性と車いすを押している看護師の服装をした女性。
「本当にいいんですか?」
そう、心配そうな表情の看護師。
「いいんですよ。あの子の幸せそうな表情を見れただけで。
これで心残りなく、いけます」
「そうですか。でも、お話くらいしたらいいのに」
「実の母親が実は末期がんだったなんて知ったら悲しむし、入院費とか心配するでしょ?
あの子にはそんな心配なんかせずに新しい家族と恋人と、幸せになってほしいんです」
そう愛おしそうに少女を見つめながら言う女性。
「そうですか、ではもう少しここにいましょうか」
そう言って看護師も少女を見つめる。