アパートの前に、見慣れた姿があった。




「平澤くん?」

「あっ!佑介くんだぁ」




彼はあたし達に気がつくと、満面の笑顔でぶんぶんと大きく手を振った。

まるで、大型犬みたいだ。




「有希さん、陽斗、おかえりー!」

「ただいま!」



平澤くんは、陽斗を抱っこして高い高いをしながら

ぐるぐると回った。

陽斗は、嬉しそうにきゃーと笑う。




「平澤くん、どうしたの?」

「あ、現場近かったんで、晩飯でも一緒にどうかと思って。
 美味いコロッケ買ってきたんですよ」

「コロッケ!?僕、コロッケ大好き!」

「マジで?俺も好きなんだよなー」




平澤佑介くん、23歳

見た目はイマドキのかっこいい男の子。

ふんわりとした茶髪に、整った顔立ちは、少しだけ幼さが残ってる。

身長185センチなのに全然威圧感はなくて、太陽のような笑顔の彼に、

陽斗もすぐに懐いた。

平澤くんは駆け出しの建築士で、彼が初めて担当した現場のコーディネーターが、

あたし。そこからなぜか懐かれて(?)今に至る。