「…うん、好きだよ」

「そっかぁ」

「それでね、おとうさんが陽斗とおかあさんと一緒に暮らしたいって
 言ってくれてるの。」

「うん」

「陽斗は、どうしたい?」

「僕?」

「大切なことだから、陽斗がどう思うか知りたいんだ。
 正直に言ってみて?」




沈黙が、すごく長く感じる

もしも

陽斗が嫌だって言ったら

その時は、諦めよう

今までどおり、ふたりで生きていこう




「いいよ」

「…え?」

「もー、おかあさん、ちゃんと聞いててよ」

「ご、ごめん」

「おかあさんが嬉しいなら、僕も嬉しいよ。
 おかあさんは、あのおにいちゃんと一緒にいたいんでしょ?」

「…うん」

「僕も、おにいちゃんのこと好きだよ」

「陽斗…」




視界が、涙で歪む

陽斗の無邪気な笑顔も、見えなくなる。




「おかあさん、なんで泣いてるの?」

「…っ」

「悲しいの?どこか、痛いの?」

「ちが…」



嬉しいんだよ、陽斗

嬉しすぎて

胸が、痛いの