Treasure~もう一度、恋~

「瞬」



あたしは、沈黙が怖くて

瞬の次の言葉が怖くて、先に口を開いた。




「あたし、何も望んでなんかいないから」

「…は?」

「認知してとか、結婚してなんて言わないよ。」




そう

それは、あたしの本心だ。




「夢が、叶ったんでしょ?
 だったら、このまま走り続けて。」

「…」

「ふたりでも十分暮らしていけてるし、これからだって…」




ドン!と強く肩を掴まれたと思った瞬間

景色が回転して

視界には、天井が広がっていた。

そして

瞬の、怒ったような

泣きそうな、顔。




あたしは、瞬に押し倒されていた。




「…ふざけんな!」




瞬の怒った声に、びくりと身体が震える。

初めてだ。

瞬の怒りが、ひしひしと伝わってくる。