「…あのさ」

「うん?」



正座して、向かい合って座る。




「…」

「…瞬くーん?」




いっこうに口を開かない俺に、首をかしげる有希

そんな仕草も、また可愛い




「付き合って、1ヶ月経ったな…」

「うん、そうだね」

「俺たち、さ」

「うん」

「…そろそろ、さ」

「うん」

「…」




芝居でなら、いくらでもくさい台詞言えるのに

有希の前になると、まるで言葉が出てこない

情けない…




「言いづらいこと?」

「…まあ」

「いいよ。瞬くんの心の準備が出来るまで待つから。
 瞬くんの言葉で、伝えて?」




にっこりと有希が微笑む

ああ

…有希には、勝てないな




「…有希」

「うん?」




俺らしい言葉

そんなの、簡単だ




「抱いても、いいか?」