実際、有希のことを知るたび

一緒に過ごす時間が増えるたび

俺は、有希に夢中になっていた




自分の魅力に無頓着で、だから謙虚で、誠実で、真面目で

優しくて、穏やかで、でも茶目っ気もたっぷりで

少し天然というか、無自覚で俺を振り回したり

でも、わがままや無茶は言わない

いつも、俺を最優先してくれる

料理がうまくて、家庭的で、子供好きで



…なんていうか





「理想の女、なんだよ」

「ハイハイ」

「オイ!流すな!!」





今まで俺は、女と付き合うことはあっても

本気で好きだとか、心を許すとか、全くといっていいほど無かった。

今までの女達も、俺の中身なんて見ていなかったし

俺の外見重視で、俺をアクセサリーかステータスとしか思わない奴ばっかり。



「好きなんだろ?やりたいって思うんだろ?」

「当たり前だろ。」

「…じゃあぶつかれば?お前のいいとこは、馬鹿みたくまっすぐなとこだろうーが」