「ごめんな。北海道に行くために、バイトしてたんだ。早く行かないと、お互い学校が始まっちゃうだろ? 出来るだけ早く金を貯めるために、ちょっとバイトを頑張っちゃった」

私のにじむ涙をその指で拭いながら、恭介は静かにそう言ったのだ。

「そっか…」

私がそう口にしたとき、彼は私体を引き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。

「いつもそばにいるのが当たり前だったから、お前がいなくなっちゃった途端、すげー寂しーなーって。俺、待ってるって言ったのに…。先が思いやされるな」

「そだね…」

でも、今ここでこうして会えたから…

すぐにまた離ればなれになってしまうけど、あなたのその優しさが私を暖めてくれるから…

「恭介、ありがと…」

その声は、とても小さかった。聞こえたかどうかはわからないけど、彼は私をぎゅっと抱きしめてくれる力が少しだけ強くなった、そんな気がしていた。