「今日はこっち、雪降ってる。ホント、寒いよ」

『もうすぐ4月なのに、まだ雪降ってるの? さすが北海道! あ、そうそう』

愛佳が思い出したように、話題を変えた。 

『今日ね、3Aのみんなと最後だからってカラオケ行ったの。そうしたら、恭介くんったらね、いつになくハイテンションで。どうしたんだろ?』

今日の出来事を漏れなく教えてくれる愛佳の話を、私は一語一句漏らさずに聞いていた。私は何となくその状況を想像しながら笑う。

「カラオケ、嫌いなのにね、恭介」

なぜ彼がそんなにテンションがハイなのか、私には解らなかったが、彼が元気に過ごしているならそれでいいと思っていた。

『何かいいことがあったのかな? 楽しみが抑えられないって感じだった』

「そう」

私たちは他愛無い話を楽しみ、電話を切ったのだった。