「…お前は俺に言いたいこと、なんかないの?」

寂しそうな恭介のその声に、私の胸の鼓動が、強く強く打ち付ける。

キタイナンカ…
シナイデ…

ワタシハ…

「…お母さんが、ちゃんと食べてるのか心配してる…。だから、顔を見せてやって」

激しく打ち付ける胸の鼓動を左手で押さえながら、私は彼の耳元でそう言った。

ワタシハ、モウ…

「…それだけ?」

また沈黙が二人を襲う。私は、小さく頷いた。

アナタノ ソバニハ…

「そうか…」

彼の目が光を失ったその時、私は、走り出していた。

二人をそのままそこに置いて、ぐちゃぐちゃになった顔のまま…