ムアっとした湿った空気が、少しだけ下のエアコンで冷えた体にまとわりついてきて、一気に全身が汗でべとついた。私は窓を開けて扇風機を回すと、その不快な空気を部屋から追い出した。そして頃合いを見計らってからエアコンのスイッチを入れ、そのまま机に向かった。

一番上の引き出しを開けると、密かに第一希望で目指している大学のパンフレットがあった。

幼い時からの夢のために決めた大学は、地方にある。私はそのパンフを手にとり、その表紙を見つめていた。

恭介は、地元の大学に通うだろう。愛佳という、彼の片思いしている人と。でも、私は違う。私は、ここから離れようとしている。

苦しくて、苦しくて…
本当に胸が痛いよ…

パンフを抱いたまま、私は机に伏せた。もうこんな風に泣いてしまうのは何度目だろうか。