息もできないほど、苦しくて仕方なかった。しかしそんな思いを飲み込み、深く息を吸い込み、細く吐いた後、口を開いた。

「私、頑張るから…。愛佳が恭介を好きになってくれるために、ガンガンアピールするからさ…」

震える声をなんとか悟られないように、私は必死になってしゃべっていた。

「だから…、だからね、大学くらい、自分の行きたいところに行くよ。…愛佳には内緒にしてね」

あくまでも明るく振る舞う。

「この辺の大学だよな?」

しかし私の口調とは反対に、益々彼の口調は鋭く、私の心をえぐる。

「そんなの、恭介には関係ないでしょ?」

まだ、足りない? 私の償いは、まだまだ足りないの?

「遠くだったら、許さないぞ」

感情的な彼の言葉に、私は絶句した。

やっぱり彼は、私を許してなんかいなかったんだ…

間も無く、階段を踏みしめる音がしたのち、玄関のドアが閉まる音が聞こえてきた。彼も隣の自分の家に帰っていったのだろう。

頭の中がぐちゃぐちゃで、整理ができない。もう今すぐにでも、この街から出て行きたいのに…

私はその場に座り込み、息を整えようと必死だった。