横山ちなみ様

突然の手紙に驚いているかもしれませんね。僕は、2年4組の畠山おさむという者です。先輩をいつも図書室で見かけます。横顔が素敵だなぁと憧れていました。そうしたら、だんだん気になってしまって、手紙を書こうと思いました。

もちろん、受験勉強で忙しいと思いますから、付き合って欲しいとかそんなことは思ってません。ただ、少しだけ話が出来ならいいなって思っていました。

もしご迷惑でなければ、次に図書室で会った時、話しかけてもいいですか? 時間は取りません。よろしくお願いします。

畠山おさむ



昼休み、日直の愛佳が授業の資料を取りに行っている間に、私は今朝下駄箱に入っていた手紙を読んでいた。

(年下だった…)

読み終えた時、思わず手で自分の頬に触れていた。

(横顔がって…)

かぁぁぁっと赤面しているのが自分でもわかっていた。

(話がしたい、か…)

手紙を元のように戻し、カバンにしまいながら、少し考えてしまう。図書室に行くのが恥ずかしい…

思わず、ふーっとため息が漏れてしまった。

(まぁ、話すだけならいっか…)

几帳面な文面から、変な子ではなさそうだと判断した私は、簡単にそう考えていた。