あたしたち佐倉探検隊

あたしはパッと声のする方に顔を向けた。

「この声って…」
「結衣姉だ!」
「急ごう!」

あたしたちは声のする方に走り始めた。でも土がぐちゃぐちゃすぎてあたしたちまで危ない。

「ゆっくり行くしかないね…」
「だな…」

あたしたちは諦めてゆっくり行くことにした。

でもたまに滑ったり足がはまったり、いっこうに進まない。

「大丈夫!?」
「やば!抜けない!」

晃太郎の右足がはまって取れなくて困ってる。

あたしは晃太郎の右足を掴んで後ろに体重をかけて抜こうとした。

足を掴んだまま土に倒れた。

「ひゃ!」
「うわ!」

晃太郎の靴が脱げた。
あたしの方に落ちてくる靴。

当たりたくない!

あたしはとっさに晃太郎の方に体を向けた。

ぽすっと着地した靴。

あたしはホッとして一息ついた。

目を開けると晃太郎の赤い顔。
それで赤くなるあたしの顔。

顔近い…

息づかいも聞こえるくらいの距離だった。

「…く、靴」
「あっ…はい…。」

あたしは背中の方にある靴をとって晃太郎に渡した。

もぉ!何やってんのよあたし!
結衣姉を探さないと!!

あたしはパッと体を起こして頭をふった。