ーーその夜

私はいつもの様に仕事用スーツを着る。


新しい仕事の依頼だ。

スーツといっても動き易いようにパンツで全身繋がってて、ぴちっとしてるやつ。

色は闇に溶け込むように黒だから、どこかの小説に出てくるスパイみたいだ。

ま、スパイとほとんど変わらないんだけどさ


慣れた手つきで黒髪ストレートを金髪に染める。
目には青いカラコン。

全ては国籍を隠し

私を私とわからなくするため


この仕事は決して表舞台に立ってはいけないから

「…よし!完璧。」

金髪に染めた髪を結い上げ気合いを入れた。


今日の依頼は…

送られてきたメールを読み返す。


なんだ、某中企業の機密資料をとってくるだけか。

ちょろいな

家を出ようとしたその時。

携帯が鳴った。