『大翔なら立ち上がれる』


そう思って、何にも聞いてあげなかった。

支えになんて―…なれてなかった。




「…ック―ヒッ…」


平日の、お昼の車内は人が殆ど見当たらなくて、あたしは外のビルや空や道が、滲んでいっても気にせずにいられた。



大翔に会いたいなら、自分から動け。



今、その思いを胸にして、あたしは少し強くなれた気がする。




大翔と離れて、あたしは学んだ。

恋には、『幸せ』や『喜び』だけがあるわけじゃない。


そして、それだけで成り立てる訳が無い。




苦しみや、悲しみがあるから―…それを乗り越えようとする。

2人で、歩もうとする。




そんなキモチがヒトツになった時に、本当にお互いを愛することが出来るんだ。