失恋なんてなんともなかったかのように、バカみたいに明るく振る舞った。


「分かった!なつ、5時に海に行くね!」

「菜摘ちゃん、絶対だよ!」

「うん、楽しみにしてるね!」


なつの返事に、みんなが満足そうに嬉しそうに笑顔で頷く。


なつは心の中で深い息を吐き、みんなにバレないようにそっと胸をなで下ろした。


くよくよしてても、仕方ないよね。


もう、過去のことなんだから……。


忘れなきゃ、いけないことなんだから。


それに、せっかくみんながなつのためにお祝いしてくれるんだもん。


自分の誕生日くらい、心から笑って過ごさなきゃ。


なつはそう思いながら、みんなと一緒にバカみたいに笑って一日を過ごした。


……みんながパーティーをしようとなつを海に誘い出した、本当の意図に気づかずに。