そう、なつたちが初めて出会ったときのような優しい波音が。
大きく成長したなつたちを、ふわっと包みこんだの。
「また、なっちゃんと海に行きたいな……」
閉じていた目を開けてあおちゃんの顔をのぞき込むと、どことなく寂しそうに微笑むあおちゃん。
なつが見たいのは、そんな顔じゃない。
あおちゃんの笑顔が、見たい。
「……何度だって、連れて行くよ」
「え?」
「今日が最後じゃない。明日でも明後日でも、十年後でも。あおちゃんが行きたいって言うんだったら、なつが連れて行ってあげる」
なつはあおちゃんの彼女なの。
あおちゃんはなつの、大切な人なの。



