それからなつは、毎日のようにあおちゃんの病院に通った。


晴れの日も雨の日も、ずっとずっと。


───あの、卒業式の日。


お母さんに手を引かれて連れてこられたのは、あおちゃんの病室の前。


泣かないと自分の決意を固めてはみたけれど、やっぱり現実の恐怖と不安には勝てそうにない。


だけど、それでも勝つんだ。


勝たなきゃダメなんだ。


いつまでもグズグズ泣いてるような弱気な自分とは、もうさよならだよ。


なつは、目の前にある自分の背丈より幾分も高い扉に手をかけ、ガラガラっと開ける。