そんなことをふと思って、しんみりした気持ちになっていると、窓から入ってきた温かな春風がなつのスカートをひらりと揺らした。


───なっちゃん。


その風に乗せられたように、微かに大好きな君の声が聞こえる。


これももう、毎日のこと。


……なのに、いまだに現実を受け止められていないなつは、急いで窓際に駆けより、下を覗いてしまうんだ。


あおちゃんがいるはずがない。


なつを迎えにくるはずがない。


そう頭では分かってるのに、やっぱり大好きな君の姿を探してしまう。