人間は、特に子供はやるなと言われたものはやりたくなる生き物なのだ

スニーカーにつく泥を気にしながらもザクザクと森の中に入る

奥に入るうちに、傾斜はきつくなり
息がだんだんと上がってくる

足を止めて膝に手を置き、はぁはぁと肩で息をしていた時だった


スゥッ


ひんやりとした空気が頬を撫でた、それは微妙に湿り気を帯びていて、一瞬霧かと思ったが、視界はどこも遮られていない

足を進めた、今までの疲労が嘘のように足は軽々と進んだ

まるで何かに引っ張られるかのように

そして僕の足は、止まった

そこは、僕を飲み込まんばかりに大きく口を開けた大穴だった

ふわりと先ほど感じた冷気が鼻をかすめる

そうか

僕は上を見上げた

そこには案の定、水の流れた跡があった

ここは昔は滝だったんだ
大きな大きな滝

今となっては枯れてしまっている

この村の名前のような

枯れた滝

ふと辺りを見回すと、滝壺の淵に、僕の背丈ぐらいの大きな石がたっていた

それはぱっと見では、何が書いてあるのか分からなかった、しかし、少しづつ近づくにつれて、だんだんと読めるようになってきた


その時だった

バチン

踏み出した右の足首を平手で引っ叩かれたような痛みが襲った


「いったっ!」


思わず声を上げる