スニーカーに足を入れて、玄関から走り出す


試しにあの森に行ってみようか

そう思って歩き出した

その森は、淡い緑と濃い緑とが合わさった不思議な色合いをしていた

走り出す寸前のことだった


『ちょちょちょ!そこの子供!!』

耳に痛い高音を発する何かが足元にまとわりつく感触


足を見ると、何やら狐のような変な生き物が僕の足にまとわりついていた


『ん?なんだ子供、俺のことが見えるのかい?』


喋った.........


「君は、狐?」

『おうよ、この枯滝の主!13尾の妖狐様に仕える誇り高き狐よぉ!』

なんだかよく喋る狐だ

しかもこいつ、俺のことが見えるのかと聞いた

つまりこいつはあの不思議なものと同じようなものなのだろうか


「なぁ、お前はさ、あの半透明なやつの仲間なのか?」


すると、狐は心外だというように鼻を鳴らした

『子供!俺をあんなナガレモノと一緒にするな!』

「ナガレモノ?」

『ああいう意思のないただ人にものにくっついて流れて行くだけのものたちのことだ』

ふーん


「じゃ、バイバイ狐、僕はこれからあの森に行くんだ」

『え?ちょ、待て子供!!あの森に入っちゃならん!』

急に冷や汗を流して焦り始めた狐

「どうしたんだよ」

『それは言っちゃいけねぇんだ』

そしてキョロキョロと周りを見渡した


『とにかく!あの森にだけはぜってー入んじゃねーぞ!』


そう捨て台詞を残して走り去ってしまった