風景の変わらない森を進む
木洩れ日が漏れ、僕の顔をまだらに照らす
そして、いつの間にかはぐれてしまった
「しまった」
顔をしかめて、チヨの姿を探す
しかし、どこを探してもあの綺麗な紫の着物は見つからなかった
はぁ
ため息が漏れる
『ニンゲンダ』
「ん?」
小さいけどはっきりと何かの声が聞こえた
声の響きが人ではなく、なにか、不思議な声がした
周りを見回すと、すぐに声の正体がわかった
木々の間に何か大きなモノがいる
全身濃い緑で、葉っぱの塊かとも思ったけど、大きさと形が明らかに葉っぱではなかった
『ニンゲン、キンキヲオカシタ』
「なんだ?」
『ニンゲン、イツカフコウニナル』
「不幸?」
『ニンゲン、カクゴシロ、サイヤクハ、ヤッテク..........』
大きな緑の塊は、地面に横たわった
そして、だんだん薄くなっていき、消えた。