ぽふっ

お腹のあたりに何か柔らかくて少し動いている何かが当たった

しかし、それも僕の体重を支えきれずに僕と一緒に地面に転んだ



「いったぁー」


手のひらをほんの少しだけ擦りむいてしまった


「なにか下敷きに………」


『このっ、小僧』


忘れたくても忘れられない甲高い声


「あ、さっきの狐」


『この野郎!あれほどこの森には入るなと言っただろうに!滝に近づいたりしてないだろうな!結界は!』



早口でまくしたてるように勢い良く喋る

流石に鬱陶しくなって少し前にいるチヨに助けを求めた

チヨは、はぁ、とため息をつきながら、するりとこちらに寄ってくる


「睡蓮のとこの狐か、言っておくがもう遅いぞ」

『む?むむむ!?おぬし、結界からどうやって……………』


ちらっとチヨがこちらを見る


『小僧ーーーー!なんてことをしてくれおった!この村にさいあk…ぐはっ』


なにかを言おうとしたけれど、チヨに平手をされて遠くに飛んで行ってしまった


「ふん、余計なことを言うでない。私はしばらくは大人しくしておるつもりじゃ」


腕を組んで少し怒ったように話す


『そんなのしんじられるかぁーーーーー!』


狐は遠くからすごい勢いで飛んできた


「本当じゃよ、面白いものを見つけたんでな」


そう言って僕の方を見る


『この小僧がか?まぁいい、しばらくはこの女を止めておけるのだな』

「少なくともこいつが生きていればの話だがな」

『はぁ、まったく、睡蓮様になんて言えばいいのやら』

「私が言おう」


チヨは一人で勝手にスタスタ歩き始めた