僕は、ついさっき、死んだ


交通事故だった、トラックに撥ねられたのだ


自分の体が何か重いものにぶつかって、激しい痛みと共に、自分は死ぬんだと自覚した


自分の体が宙に浮く時、僕は今までの人生を思い出した


これが走馬灯というものだろう




勉強に勤しみ、恋をして、失恋して、仕事に熱くなった




たくさんの思い出がアルバムをめくるように流れて行った



白黒の写真を見返すうちに、一枚だけ、色鮮やかな写真を見つけた



「夏の幽霊」



小さくタイトルがついている写真


幼い頃の僕が、写真の左側に寄って、笑顔でピースしている




まるで右側に誰かいるように




そうだ、このころ、僕には不思議なものが見えた


とても不思議で、優しくて、温かいものが