「なんてね。今のは冗談」


しばらくの沈黙の後、琉は笑ってこう言った。


この言い方、この声はーーー


傷ついている。


すごく、傷ついている。




あたしのこと、猫被りだって言うけれど、琉だって同じだ。


いつも被っていないだけ。



本当に傷ついた時、悲しい時。

本気で嬉しい時、楽しい時。


ほんとに本当の時は、琉はいつだって本当じゃないフリをする。


必死でやっている時も、力を抜いてるみたいに。


どうしてもしたいことも、あまり気乗りしないみたいに。



いつも。