"好き"



「なぁ。やっぱ寂しいのかな、親父さん」


しばらくあたしが琉の顔を眺めていると、琉がポツリとそう言った。



さっき病院からあたし達が帰る時、父が止めたことを言っているんだろう。


アルコールが抜けていると、ただの気弱な人になる、父。

いつも、あたしが帰る時は止めるようなことを言う。


それを知っていても、分かっていても、どうしても、アルコールが入っている時の父が思い出されて。


こんなことしか言えない。


「さぁね。何にしろ、あたしが気を使うことではないから」