「あっ、うん。ちょっとこの人と喋ってただけ」
「ふぅん」
琉には、あたしがまだ学校モードで、猫を脱ぎ切っていないことが分かったらしい。
「あとで聞くからな」と目で言って、琉は去って行った。
「あの人誰?」
ちょっと蚊帳の外だった大橋君が言った。
「ーーあぁ、あの人?あたしの幼なじみ」
「天ノ川先輩?」
「うん、そう」
「幼なじみでーー彼氏?」
しまった!さっきの事忘れてた!!
「うん、まぁ。そんな感じ」
ははは…とあたしはごまかした。
大橋君にはあたしのごまかしが分かったのかな?
読めない。
笑いながら、あたしは無意識のうちに、今までに無かった新しいタイプの強者に恐れをなしていた。