幻想鏡華伝~華鏡の羽衣~


少々落ち込みながらも、自分の教室へと向かった。

―――――――ガラガラッ

「おはよー…」

「よっす、色葉!」

今の私とは真反対の明るい声が上から降ってきた。

ゆっくり顔を上げると

「あ…新見くん…」

学年内でイケメンと噂されている新見涼(ニイミリョウ)くんが前に立っていた。

ていうか、新見くん…近くない?

それに身長も大きいから見上げると首が疲れちゃうや。

「どうした?なんか今日元気なくね?」

「あはは…ちょっとね…」

「新見くんが今まで少ししか紗槻と話したことがなかったから、少し驚いてるのよ。ね、紗槻?」

あ、唯芭…私が困ってると思ってフォローしてくれたんだ…。

優しいなぁ…。

「俺そんなに話してなかったか?結構話してたと思うんだけど」

「あんまり話してなかった…かな」

第一入学式の席がたまたま隣で少ししゃべっただけで、そのあと一回も話してなかったと思う。

「これからたくさん話していってもいいか?」

「も、もちろんっ!是非是非っ」

「ちょっと、私も忘れないでよ?」

すかさず唯芭がツッコミを入れてきて、3人で笑いあった。