人魚姫と海の涙

「お初にお目にかかります。神よ」


一瞬、何が起きたのかが理解できなかった。


父さんが僕の前に跪いて頭を垂れている。


意味がわからない。


「父さんっ?何、してるの?僕だよ、心音だよ?」


僕の必死の呼び掛けに、父さんは一切耳を貸さずに言葉を重ねていく。


「我娘に乗り移って下さり、ありがとうございます。


この社は貴女様のための場所。


お好きにお使いくださいませ」


淡々と言う父さんの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。