あの家を飛び出る少し前にあいつに会った。


俺の裏側の汐音に。


時廻の名を捨てることを決心した日の事だった。


俺は、名を捨てて真っ当に生きたかった。


でも、無理だった。


俺の血に刻まれた、魔女と人の呪い。


人を殺さずに生きられない俺の運命は、それこそ時廻の能力がなければ曲げられない