自分にそっくりな人間っていうのは本当に存在するみたい。


何故、こんなことを言っているのかというと、今目の前にそいつがいるから。


私は今まで人間っていうのは種の保存より自己の保存を優先する唯一の生物だと思ってた。


けど改めなきゃ。


自分そっくりの人間は自分のバックアップってことで最高の自己保存だと思ったのになぁ。


違うなんて。


実際に彼を見た私はどうしようもなく彼を殺したい。


まっさか、私。


海堂の長女の裏側が悪名高い時廻の継承者だとは。


本当、笑っちゃう。


「ふふ、くすくす……あはははははっ」


泣きながら人を殺す殺人鬼。


なんて滑稽。


でも、仮にも私は女でこいつは男。


一方は旅の女でもう一方は地元の殺人鬼。


何処に私の勝ち目があるんだか?