「あれ?鈴じゃん。また魔力切れ起こしてんのか?おーい」


しゃがみこんでいた私の視界に真っ黒な瞳が映りこんだ。


す、と手が差しのべられるのを無視して立ち上がる。


すると、手は引っ込んだ。


「大丈夫か?ぼーっとしてるけど?」


心配して伸びてくる手を振り払うように私は強く首を縦に振った。


「大丈夫。ディフは何故ここに?」


問うと、ずっと提げていたらしい袋を掲げてくる。


「もうすぐ鈴が帰ってくるかと思ったから。迎えに来たんだ。アイス、一緒に食おうぜ?」


冷たくって甘いアイス。


二人っきりでそれをかじったこの時が永遠に続けばいいのに、なんて淡く夢を見た。