「で?私を殺すのかしら、殺人鬼さん?」


わざとらしい口調を作って問いかけるとそいつはかぶりをふる。


「いや、俺は殺人鬼だ。殺人魚鬼じゃあない。さっさと逃げて警察でも呼べよ」


乱暴な口調とは裏腹に瞳は楽しそうに輝いて。


何故か、二年前に殺された汐姉様を思い出す瞳だった。


「いいえ。このコロニーに警察はいないの。


呼ぶ権限は私と私の双子しか持っていないし私は呼ぶつもりはない。


ねえ、私の家に来ない?匿ってあげる」


私の提案に彼の目は訝しげに細められる。


「はぁ?なんで呼ばねえの」


「んー……。だって面白そうだし」


不謹慎な理由だけど。


汐姉様にそっくりだし。


同年代の子も珍しいし。


「あ、っそ。で、お前、名前は?」


「海堂鈴音。鈴って呼んでちょうだい」