人魚姫と海の涙

僕の吐きそうな表情に気が付いたのか、母さんは手鏡を鞄にしまった。


「心音、なのね?」


震える声で問われる。


僕の事を僕と思えなくて当然だ。


僕は、変わり果てていたのだ。


「母さん、何で、僕が、こんなにっ」


たくさん聞きたいことがある。


のに、巧く言葉にならなかった。


「心音、心音っ」


母さんは肩を震わせて泣いた。


僕を抱きしめてくれたその手からは、懐かしい香りがした。